息子の携帯


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息子を拾って塾に向かう途中、空があまりにきれいで。

車を停めて携帯で1枚だけ写真を撮った。

 

その様子を見た息子が

「なにしてるの?」

と聞いた。

理由を話すと

「えーそうかな…。」

と首を傾げた。

「(中学生男子なんてそんなものか…。)」

と車を走り出させようとすると、自分の携帯のフォルダを見せてきた。

 

 

 

そこには、きれいな空の写真がたくさんあった。

 

「僕の写真の方がめっちゃキレイだよ!!(自慢げ)」

 

 

 

私はなんだか嬉しくなって、喉の奥が熱くなった。

 

 

 

最近の息子は思春期真っ只中で、自分のことを話したがらない。

親が、がっかりするような思いやりのない行動をとったり。

幼稚で見当違いな、世の中を全てわかっているような言葉を発したり。

こちらが悲しい気持ちになるような態度が見られ、「誰もが通る道だ」と頭ではわかっていても親として何かが足りていなかったのでは?と考えたりもしていた。

 ここのとこ、塾の送迎は説教タイムになっていた。

 

今朝、とある取引先の社長の奥様のところへお届けものがあり、「息子さん元気?」なんて話からその話になった。

 

奥様は

「親は思っている以上に無力よ。子供は親の元を駆け抜けて行くだけだから。」

と言った。

すごく胸に刺さる言葉だった。

 

 

息子が生まれる時、元気に泣いてくれることだけを願った。

眠れない日が続いても、笑ってくれるだけで嬉しかった。

小さな時は、ご飯を残さず食べてくれるだけで嬉しかった。

かたことの赤ちゃん語がかわいくてずっとこのままでもいいと思った。

保育園では、泣かずに楽しく過ごせればいいと思った。

お迎えの時、「ママ!」と駆け寄ってくる姿に死んでもいいと思った。

小学校では、友達がたくさんできて元気に遊んでくれればいいと思った。

毎日元気に帰ってきてくれればそれでよかった。

 

元気で笑顔でいてくれればそれでよかったのだ。

 

 

でも今は違う。

中学生として、人として、息子として、多くのことを願ってしまっている。

こういう行動をして欲しい。

こういう発言をして欲しい。

こういう考え方をして欲しい。

 

願うことが増えたから、説教する機会も増えたのかもしれない。

 

 

「子供に対して何かを願わない親はいない」と私は思う。

でも、今日いただいた言葉で、それは思ったほど子供に伝わらないかもしれない…ということを頭に入れておかないといけないと思った。

 

 

息子を待つ時間「(思春期問題は)とりあえず、もう少し様子を見よう」と心に決め空をボーッと見ていた。

それもあって写真を撮りたくなったのかもしれない。

 

 

 

息子には「空がきれい」だと思う気持ちがあった。

それだけで全てが大丈夫な気がした。