姪っ子の話

 

何度か登場したが、私には2つ違いの妹がいる。

そして、妹には息子と同じ歳の娘がいる。

私にとっては姪っ子だ。

 

今回はその姪っ子についての話。

 

 

姪っ子が1歳の頃に妹はシングルマザーになり、実家の母の元で暮らすようになった。

(ちなみに母もシングルマザーとして私達姉妹を育てた。)

小学6年生まで実家で過ごし、仕事で帰りの遅い妹に変わり私の母が世話をしてくれた。

 

 

妹は、お酒とタバコが好き。

仕事から帰るとすぐにお酒を飲む。

楽しくなるお酒ならいいのだが、愚痴が多く不機嫌になる。

姪っ子がおしゃべりを始めると「早く風呂に入って寝ろ!」と怒鳴る。

時には物を投げつけ、リフォームしたての壁に穴を開けたりしていた。

私も母も気性の激しい妹の子育てに口出しすることができなくなった。

それでも、世話をしてくれる母がいてくれるので救われていた。

 

 

 

姪っ子は小学生の時とても成績がよかった。

通知表は、ほぼ「よくできる」。

妹は、学習のことには無関心だった。

それでも『ほったらかしでも成績がよい』ことには満足してる様子だった。

でも私は、通知表の結果だけで『勉強ができている』と判断することに疑問を感じていた。

小学校のカラーテストで本当の学力を計ることは難しいと思っていたから。

 

妹は、学習面で息子に付き合う私を見て『過保護』だと呆れ顔で言った。

「自分はたいした高校に行ってないくせに、なんで子供に勉強させるの!?」

とも言った。

私は、運動が苦手で手先が不器用な息子になにか得意分野を持って欲しかった。

そして“勉強”は社会に出てからも必要だから(仕事に真剣に向き合おうと思えば)苦手になって欲しくないと思っていた。

そのためには、自転車に乗る練習のように段階があると思った。

小学生のうちは、

『漕ぎ出せるまで支えて、手を離すのはその後!』

という考えだった。

なにより、得意なことをみつけて自信を持ち出した息子を応援したかった。

でも、そんなことは言わなかった。

「やっぱり男の子だしね。」と言ってごまかした。

 

 

 

姪っ子が中学1年になる頃に同じ学区内で中古の一戸建てを購入し実家を出た。

母も限界を感じていたので、自立した妹にホッとした。

その反面、姪っ子が心配になった。

 

中学生になると、姪っ子の成績は下がった。

「下がった」という表現も正しいのだろうか…。

今まで、先生の印象がよくて「よくできる」と評価されていたものが、定期テストやその順位で学力がはっきりしただけなのかもしれない。

私が助かっているのは、息子が学校の授業だけできちんと理解できてくれていること。

姪っ子はそれができていないように見えた。

そして塾にも行っていないから、『理解できていない学習』が積み重なっている。

 一度だけ「数学(苦手)だけでも塾に行かせてあげたら?」と、言ってみたことがある。

妹は、「無理!」と殺し屋のような目つきで言った。

私はそれ以上何も言えなかった。

 

私が妹に『姪っ子のこと』で意見を言ったのは一度だけだと思う。

離婚した妹が

「私も親が離婚したけど全然平気だったから、〇〇(姪っ子)も平気なはず!」

と言った時。

「平気がどうかは親が決めることではない!〇〇(姪っ子)が決めること!!」

と、めずらしく意見した。

激怒されることを覚悟で言ったが、妹は黙っていた。

 

 

 

姪っ子は私のことを『いっちゃん』と呼ぶ。

おしゃべりができるようになってからずっと。

私の名前に『い』という文字は一切ないのに。

姪っ子には息子と違ったかわいさがある。

 

その日学校であったことを楽しそうに話してくれる。

スタバに誘って(おごらせて)くれる。

私のインスタに“いいね”をしてくれる。

wacciやズーカラデルを教えてくれる。

LINEのアイコンは魔法が施され別人のようにかわいい。

 

私の妹は、そんな姪っ子の毎日の話を聞くのが苦手。

姪っ子が一生懸命話しても「うるさい!こっちは仕事で疲れてるんだ!!」と怒鳴る。

スタバに付き合うことは絶対にない。

インスタをやっていることも知らない。(というかインスタを知らない)

姪っ子の好きな音楽や新田 真剣佑が好きなことも知らない。

 

 

 

まだ中学2年生だけど、もう中学2年生。

もう高校受験を意識する段階に入っていると思う。

「そのままの学力で行ける高校に行けばいい」

と思っている妹に、私は何も言えないでいる。

姪っ子は、要領が良くて友達がたくさんいる明るい女の子。

怒られても耐えられるメンタルの強い子になった。

だから、どんな高校に行こうと、大学進学できなくても、明るく楽しくやっていくのだと思う。

人から好かれるから、接客の仕事もそつなくできるだろう。

勉強ができなくても、それなりの道はあるのだと思う。

『人から好かれること』は社会に出た時、大きな武器になるから。

 

でも『やり方がわかれば、勉強もできるようになる子』だと思うから、どうしても「もったいない」と思ってしまう。

 

 

『中学生の今』は限りがあって、「このままでいいのかな」と悩む自分がいる。

ただの『伯母さん』でしかない私は、妹達親子のことに踏み込むことは難しい。

「いっちゃん、助けて!」と言われれば多分頑張っちゃうんだろうけど…。

百万年待ってもそんな日は来ないだろう。

 

 

 

そんな、親戚のおばさんがひとりで勝手にモヤモヤしてますよって話でした。