合格発表

 

90歳で亡くなった私の祖母は不思議な人だった。

まだ結婚の話も出ていない頃、旦那さんに合わせたら

『孫のこと、よろしくお願いします。』

と頭を下げてびっくりしたり。

まだ妊娠してることを私自身が知らない時に

『おめでとう』

と電話をよこしたり。

 

1月2日、急に思い立ち群馬までお墓参りに行った。

息子と姪っ子を連れて。

受験の前に、祖母のところに行っておいた方がいい気がしたから。

着いたのは夕方。

日が暮れる前に…、と急いで掃除をして手を合わせた。

『ふたりにとって最良の結果になりますように。』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

受験前の模試では、ほぼ安全圏。

学校の先生も、塾の先生も、私達親も。

『理数科がダメでも、普通科で落ちるわけないだろう。』

・・・と合格を疑わなれかった、息子。

入試の後も、

「難しかったけど、多分大丈夫!」

とすっかり合格した気分。

 

学校の先生も、塾の先生も、親からも。

『受かることは、ほぼない!』

と言われ、親からは

「私立は無理だから、落ちたら2次募集を受けなさい。」

・・・と追い詰められていた姪っ子。

自己採点で点数が目標点に届かず、

「もう、絶対に落ちた・・・。」

と泣いていた。

 

 

合格発表の日。

9時にWEBで確認。

旦那さんも私も、その後高校まで一緒に行こうと会社を休んでいた。

サイトがなかなか繋がらない。

 

私の携帯が鳴る。

姪っ子からだった。

寝室に行き電話に出ると、

「いっちゃん!受かってた~!!」

と、嬉しそうな声。

「きゃー!うそー!!よかったね~!!」

また連絡するね、と電話を切った。

 

 

リビングに戻ると無言の男子ふたり。

 

息子は『不合格』だった。

 

私の歓喜の声を聞きながら、息子は

「あれ?・・・あれ?」

と言いながら自分の番号を探していたらしい。

 

しばらく信じられなくて、誰も話すことができず。

長い沈黙の後、旦那さんが

「よく頑張ったね。お疲れ様。親としては、合格した喜びを味あわせてあげたかったけど、今日のこともきっと糧になるから…。」

と言った。

私は、なにか話すと泣いてしまいそうで、黙ってることしかできなかった。

 

 

その後、中学校に電話報告。

なんとか電話させたけど、

「・・・落ちました。」

と言うのがやっとだった。

 

午後は、塾への報告。

『不合格』の人は14時~16時まで。

『合格』の人は16時~18時まで。

・・・に塾に報告に行くことになっていた。

 

『不合格』の人は電話でもよかったので、行きたがらない息子。

「こんな時こそ直接報告をしてお礼を伝えよう!」

説得して連れ出し、菓子折りを買って報告に行った。

 

息子が塾に入ると、3人の先生は驚いた様子で誰も言葉を発せない。

いたたまれなくなって、息子の後ろから顔を出し

「すみません、『不合格』の報告で来ました・・・。」

と私が言うと、ようやく先生が息子に声を掛けてくれた。

最後に息子が

「ありがとうございました。」

と頭を下げ、塾を出た。

 

 

夕方まで、

『なにかの間違いで、連絡来たりして(笑)』

なんて考えて、併願の私立の入学金やら45万円を入金できずにいたけど

「ママ、お腹すいた~。」

と言う息子にみんなで笑ってしまい

「じゃあ外食して、みんなで入金の確認しよう!」

と近所の中華料理屋さんに。

 

 

f:id:aka-net:20220306160759j:image

ご飯が食べられれば大丈夫!

この後、みんなで大金の入金(クレジット)を確認。

みんなで頑張ろう!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 


f:id:aka-net:20220306160750j:image

ずっとやりたかった片づけ。

意を決して、今日頑張りました。

3年間、ヤキモキしたり、腹が立ったり、心配したり、色々あったけど。

こうやってみると、頑張ったんだな~って思う。

(白紙のページも結構あったけど。)

 


f:id:aka-net:20220306160753j:image

壁に貼ってた、成績表。

なんだかしみじみしちゃって、しばらく眺めて、

「よく頑張ったね・・・。」

と言葉にしたら、涙が出た。

 

 

片づけながら思ったのは、

『それぞれが最良の道に進めたのかな』

ということ。

併願の私立男子校は、中学受験した友達が行った学校。

「高校から一緒に通おうよ!」

と誘われていて、遊びに行った文化祭では

「いい学校だから通いたいけど、成績的に無理かな。」

なんて話していた。

その後、成績がだんだん上がって併願にすることができて。

 

公立は、本人が受けたいと望む高校にしたけど。

「息子が通っているのが想像できないな・・・」

と少し思っていた。

私の母も同じようなことを言っていて

「なんか〇〇の受ける高校、名前が全然覚えられないのよね!」

と言っていた。

 

反対に姪っ子は、成績的にかなり難しかったけど

「ここのセーラー服着てる姪っ子しか想像できない!」

と思っていた。

 

きっと、おばあちゃんが導いてくれたのだと・・・思いたい。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

高校受験はゴールではない。

何年かしたら『たいしたこと』じゃなくなってるだろう。

まわりは、先を見てもうスタートしてるかもしれない。

でも、悲しければ悲しめばいいし。

泣きたければ泣けばいい。

憎まれ口も言えばいい。

それでも親は応援するから。

 

残念な結果になったけど、公立高校目指して最後まで頑張れたことはよかった。

なんだかんだ、楽しかったな。