『次女は3人の中でいちばん賢いです。
三女はヤバいです。』
と後輩は言った。
そうして次の年、下2人の勉強をみることになった。
まずは、プリントやテスト、お便りがぐちゃちゃで、
『こんな中で勉強できないでしょ!』
とツッコみつつ片づけをした。
整理整頓できていないと学力も上がらない。
安い棚を持って行き、2人別々の収納を作った。
いざ勉強を始めると…。
『次女は3人の中では賢い』と言っていたけど。
次女ちゃんがいちばん深刻だと思った。
次女ちゃんは6年生。とっても字がきれい。
硬筆展は毎年選ばれていた。
そして、周りに気配りができるよい子だった。
後輩は『字がきれい=頭がいい』と思い込んでいた。
…テストや通知表を見ないので。
算数は単純なたし算引き算かけ算はできるけど。
割り算のひっ算、分数、角度、面積、どれもできなかった。
漢字は1文字の訓読みなら書けても、2文字以上の熟語になると全滅。
そして、できないことよりも大変なのが、
『字をきれいに書くことへのこだわり』
メモ感覚でいい計算も、強い筆圧でていねいに書く。
間違えたらわざわざ消しゴムで消して書き直す。
『わからないことは恥ずかしいこと』
と思っていて、質問できない。
間違いを恐れてなかなか解き(書き)始めない。
あとは、同じテーブルで勉強している三女ちゃんが気になって、間違えて答えてると『それ違うよ!』と口を挟んでくる。
周りが気になって集中できないんだな。
そこへ、お酒を飲みながら後輩が口を出す。
『〇〇(次女)!ちゃんと聞いて!怒られるよ!』
・・・なんだそれ。
3分の1+3分の1は6分の2と答えるので、3等分したピザの絵を書いて説明。
『わかった!!』
と嬉しそうにして、次の問題からピザの絵を書き出す。ていねいに。
説明をしてても、うんうんと頷きながら頭の中は『正解を当てること』でいっぱい。
最後まで話を聞かずに
『じゃあ正解はこれ?』
『これで合ってる?』
って感じで、解き始める。
だから理解が深まらない…。
後輩の子供達への関わり方を見て気がついた。
息子『じゃあこの答えアイウのどれ?』
次女『…イ!』
後輩『すごいじゃん!当たってるよ!』
私&息子『・・・。』
『答えが当たってればよし。』
『その答えをどう導き出したのか聞かない。』
なんとか道筋だけでも立てておかないと、中学校では長女ちゃんより大変になるだろうと思った。
3女ちゃんは学校で問題児扱いされていて。
担任の先生から年中電話がくるような子だった。
ていねいにゆっくり字を書くことも、30分じっと座ってることもできなかった。
書くことが嫌いで、殴り書き&漢字なし。
なにかの学習プリントの『今日のふりかえり』の欄に、『わたしはふりかえらない』と書いていたり。
でも100マス計算など、大人も交じってみんなでゲーム感覚でやると、早いしミスもなかった。
テストの間違いも、説明すればすぐに理解して。
もしかしたら賢い子なのかな?と思った。
それから無料のドリルを印刷して平日は後輩に丸つけを頼み、休日に勉強を見た。
中学生の長女ちゃんと比べて、小学生はまた違った大変さがあり。
集中力を継続させること、子供達のわかる言葉で理解してもらうことが特に大変だった。
それでも2人とも息子に懐いてくれて、息子にとってよい経験になってるな…と思った。
だけど勉強がドタキャンされるようになってきて。
はっきりと言わなかったが、毎日の勉強ができていないことが原因っぽかった。
仕事から帰ってから、食事を作って家事をして。
その後の丸つけがしんどかったんだと思う。
そして丸つけされないから子供達も勉強しなくなる。
悪循環。
私は後輩の予算も考えて『公文』をすすめた。
『公文』には気になるところもあるけど。
2人にとって最初のステップとしてはいいと思った。
1教科7000円程度、というのも魅力的。
後輩は最初2人分の塾代が厳しいと渋った。
『子供にある程度の学力をつけずに社会に出すのは、戦場に武器も鎧もなく行かせるようなもの!』
と伝えた。
後輩はポカンとして、私の言いたいことは伝わらなかった。
でも覚悟を決め、2人は今仲良く公文に通っている。
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これで後輩Aの話はおしまい。
後輩Aは悪いお母さんではない。
子供達だってお母さんのことが大好き。
週末にはたこ焼きパーティーしたり、
誕生日にはケーキを作ったり。
子供達が喜ぶことを考え、やっている。
ただ目の前のことに一生懸命で、子供の将来のことまで考える余裕がないだけなのかもしれない。
後輩Aの子育ては失敗だったのか…。
そんな判断をできる立場ではないけど。
私は『成功』だと思う。
3人とも明るくてかわいい気持ちの優しい子だから。
ジェンダーレスの時代にこの発言はどうかと思うが、
『女の子はかわいくて優しければOK!』
だと、私は思っている。
だからきっと大丈夫。
〜⑤へつづく〜