子供の字の汚さについて考えた④

 

『次女は3人の中でいちばん賢いです。

三女はヤバいです。』

と後輩は言った。

 

そうして次の年、下2人の勉強をみることになった。

まずは、プリントやテスト、お便りがぐちゃちゃで、

『こんな中で勉強できないでしょ!』

とツッコみつつ片づけをした。

整理整頓できていないと学力も上がらない。

安い棚を持って行き、2人別々の収納を作った。

 

 

いざ勉強を始めると…。

『次女は3人の中では賢い』と言っていたけど。

次女ちゃんがいちばん深刻だと思った。

次女ちゃんは6年生。とっても字がきれい。

硬筆展は毎年選ばれていた。

そして、周りに気配りができるよい子だった。

後輩は『字がきれい=頭がいい』と思い込んでいた。

…テストや通知表を見ないので。

 

算数は単純なたし算引き算かけ算はできるけど。

割り算のひっ算、分数、角度、面積、どれもできなかった。

漢字は1文字の訓読みなら書けても、2文字以上の熟語になると全滅。

そして、できないことよりも大変なのが、

『字をきれいに書くことへのこだわり』

メモ感覚でいい計算も、強い筆圧でていねいに書く。

間違えたらわざわざ消しゴムで消して書き直す。

『わからないことは恥ずかしいこと』

と思っていて、質問できない。

間違いを恐れてなかなか解き(書き)始めない。

 

あとは、同じテーブルで勉強している三女ちゃんが気になって、間違えて答えてると『それ違うよ!』と口を挟んでくる。

周りが気になって集中できないんだな。

そこへ、お酒を飲みながら後輩が口を出す。

『〇〇(次女)!ちゃんと聞いて!怒られるよ!』

・・・なんだそれ。

 

3分の1+3分の1は6分の2と答えるので、3等分したピザの絵を書いて説明。

『わかった!!』

と嬉しそうにして、次の問題からピザの絵を書き出す。ていねいに。

説明をしてても、うんうんと頷きながら頭の中は『正解を当てること』でいっぱい。

最後まで話を聞かずに

『じゃあ正解はこれ?』

『これで合ってる?』

って感じで、解き始める。

だから理解が深まらない…。

 

後輩の子供達への関わり方を見て気がついた。

息子『じゃあこの答えアイウのどれ?』

次女『…イ!』

後輩『すごいじゃん!当たってるよ!』

私&息子『・・・。』

 

『答えが当たってればよし。』

『その答えをどう導き出したのか聞かない。』

 

なんとか道筋だけでも立てておかないと、中学校では長女ちゃんより大変になるだろうと思った。

 

 

 

3女ちゃんは学校で問題児扱いされていて。

担任の先生から年中電話がくるような子だった。

ていねいにゆっくり字を書くことも、30分じっと座ってることもできなかった。

書くことが嫌いで、殴り書き&漢字なし。

なにかの学習プリントの『今日のふりかえり』の欄に、『わたしはふりかえらない』と書いていたり。

でも100マス計算など、大人も交じってみんなでゲーム感覚でやると、早いしミスもなかった。

テストの間違いも、説明すればすぐに理解して。

もしかしたら賢い子なのかな?と思った。

 

 

それから無料のドリルを印刷して平日は後輩に丸つけを頼み、休日に勉強を見た。

中学生の長女ちゃんと比べて、小学生はまた違った大変さがあり。

集中力を継続させること、子供達のわかる言葉で理解してもらうことが特に大変だった。

 

それでも2人とも息子に懐いてくれて、息子にとってよい経験になってるな…と思った。

 

だけど勉強がドタキャンされるようになってきて。

はっきりと言わなかったが、毎日の勉強ができていないことが原因っぽかった。

仕事から帰ってから、食事を作って家事をして。

その後の丸つけがしんどかったんだと思う。

 

そして丸つけされないから子供達も勉強しなくなる。

悪循環。

 

私は後輩の予算も考えて『公文』をすすめた。

『公文』には気になるところもあるけど。

2人にとって最初のステップとしてはいいと思った。

1教科7000円程度、というのも魅力的。

 

後輩は最初2人分の塾代が厳しいと渋った。

『子供にある程度の学力をつけずに社会に出すのは、戦場に武器も鎧もなく行かせるようなもの!』

と伝えた。

後輩はポカンとして、私の言いたいことは伝わらなかった。

でも覚悟を決め、2人は今仲良く公文に通っている。

 

 

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これで後輩Aの話はおしまい。

 

後輩Aは悪いお母さんではない。

子供達だってお母さんのことが大好き。

週末にはたこ焼きパーティーしたり、

誕生日にはケーキを作ったり。

子供達が喜ぶことを考え、やっている。

 

ただ目の前のことに一生懸命で、子供の将来のことまで考える余裕がないだけなのかもしれない。

 

後輩Aの子育ては失敗だったのか…。

そんな判断をできる立場ではないけど。

私は『成功』だと思う。

 

3人とも明るくてかわいい気持ちの優しい子だから。

 

ジェンダーレスの時代にこの発言はどうかと思うが、

『女の子はかわいくて優しければOK!』

だと、私は思っている。

 

だからきっと大丈夫。

 

 

〜⑤へつづく〜