夏休みの宿題で『作文』があった。
いくつかあった中から息子は『税の作文』を選んだ。
想像通りだがなかなか書き始めない。
作文が嫌いだから。
夏休みが終わる前日、
『マザー…、アイデア、プリーズ!』
とぬかしやがった。
仕方なく、なんとなくネットで検索してたら、
『フィンランドが3年連続幸福度ランキング1位』
という記事が目についた。
調べてみると…、
フィンランドは税金が高いけど、社会保障が充実していて国民の満足度が高い。
教育水準も高く、学校教育だけで高い学力を得られるから塾というものがない。
というものだった。
『これ、いいじゃん!』
と思って息子に伝えた。
息子は、
『作文が得意な人ならすばらしい作文になりそうだけど、僕にはあと数時間でこれを作文に仕上げる能力がないYO』
と言った。
結局、息子が自分で考えて、私のことを書くことにした。
私に時々質問して、脚色も加えて、作文は仕上がった。
そんなこともすっかり忘れていたのだけど、
先週息子がお便りを持って帰ってきた。
お便りには、
『川越市〇〇〇〇長賞に選ばれました』
とあった。
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母は私が一歳の頃から会社員として働いている。幼い頃は専業主婦やパートの短時間勤務で、家にいてくれることが多いお母さんを羨ましく思うこともあった。一度母に
「どうして扶養の範囲内で働かないの?」
と聞いてみたことがある。税金や社会保険料の負担を抑えることができて、家事や子育てと仕事の両立がしやすく、そっちの方が得なのでは?と思ったからだ。母は、
「それぞれの家庭で事情があって扶養の範囲で働くことを選ぶ人もいると思う。でも私は正社員として働いて納税者となり社会貢献がしたい。いつか助けてもらう時がくるから。」
と言った。
そんな母が去年乳がんになった。すぐに手術とはならず、まずは抗がん剤でがんを小さくすることになった。抗がん剤治療が始まってしばらくすると母の髪の毛は全て抜けてしまった。仕事を続けるためにかつらを購入した。抗がん剤治療は半年間に及んだ。その後無事手術ができることになり二週間入院して手術を受けた。そして退院後は放射線治療。放射線治療は一ヶ月間毎日病院に通う。医療費は莫大な金額になっているのではないか、と心配になり聞いてみた。
「国の医療保険制度に助けてもらっているから、なんとか大丈夫だよ。」
と母は言った。それは高額療養費制度というものだ。そもそも健康保険制度によって医療費の支払いはその金額の3割だ。それでも高度な治療や、入院手術によって高額になることがある。そういった自己負担額が高額になった時に、一定の金額を超えた分があとで払い戻される制度だ。そして会社員として働いていた母は会社の組合で3万円を超えた医療費は付加給付として返金されるらしい。
「いつか助けてもらう時がくるから。」
と働いていた母は今安心して治療を受けられている。
この作文を書くにあたり改めて母に正社員として働き納税することの意義を聞いてみた。
「今回病気になってショックだったけど、安心して治療できたのは社会保障制度のおかげだと思う。それはたくさんの人が収めた税金で支えられている。そして私が収めていた税金もその一部になっていると思うと誇らしい気持ちになる。日本ではまだまだ男女平等とは言えず、家事や育児は女性がするものって思っている人が多い。だから女性が働き続けるのは大変。でもこれからも頑張って働き続けたいと思ったよ。」
と母は言った。
日本は少子高齢化が進んでいる。そのため女性も仕事を持ち納税していかないと税収が足りなくなり、将来消費税が倍以上になるかもしれない。「家事と仕事の両立」という言葉が女性に向けられるものではなくなり、女性の社会進出がもっと進み、社会で輝く人が増えれば日本の未来は明るいのではないかと思った。
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国税庁のHPには、上位の賞に入賞した高校生の作文が載っている。
その文章はすばらしく、比べてしまうと息子の文章はすこし子供っぽい。
私が病気になって、どんな気持ちだったとか、感情的なことが一切なくて。
でも、そんなところが息子っぽくて、私はいいと思った。
今日、車のオイル交換で狭山に行った帰りに見つけたお店。
【バニトイベーグル狭山店】
とってもおいしかった!…んだけど。
ベーグル食べると必ず口の中を噛んでしまう。
今は口の中が大変なことになっています。